シルクロードの貨幣 @ソグド地方

 シルクロード交易の主人公であるソグド人の故郷が、現在のウズベキスタンを中心とする中央アジア地域である。ここには城壁に囲まれたオアシス都市が点在する。古代よりバクトリア・クシャン朝・ササン朝・エフタル・突厥・唐などの大国の支配を受けながらも、これらの都市は、通商拠点として繁栄した。強大な軍事力を持たないソグド人は、商業によって、都市国家としての自治を高めてきた。

 シルクロードでの国際流通貨幣は、ササン朝銀貨であった。( →別頁「ササン朝とその影響」参照
一方各地において独自の銅貨を発行している。中国・唐の影響を受け、穴銭も発行された。9〜10世紀にはイスラム化が進むが、それ以前の貨幣は非常に多様で異文化の混交が見て取れる。

 貨幣に記された文字は、ソグド文字で、シルクロード交易の国際通用文字であった。と言うよりも、交易地点となるアジア全域にソグド人が散らばっていたとも言える。




中世ソグド(ソグディアナ)地方の貨幣

非常に小さい銀貨で、カップ型になっている。1〜5世紀頃にソグド地方で作られた。初期のタイプにはギリシャ文字が入る。バクトリア・インドグリーク貨幣の影響である。

左のコインは、やや時代が降ってからのものである。
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発行者不明  ソグド地方東部  4世紀頃  銅  
0.3g 27 9mm
表 : 王の肖像    
裏 : 弓を持った人

サマルカンドのタムガ  王族のタムガ
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ソグド地方東部・サマルカンド(都市国家) ウルクワラタムカ王 675−695頃  銅  
5.4g 27 20mm
表 : ソグド文字で「ウルクワラタムカ王」     
裏 : 左・サマルカンドのタムガ  右・王族のタムガ


王族のタムガ  サマルカンドのタムガ
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ソグド地方東部 サマルカンド(都市国家) グラク王 710−738年頃   銅 
4.0g 25mm
表 : ソグド文字で「グラク王」     
裏 : 左・王族のタムガ   右・サマルカンドのタムガ


ブハラのタムガ 
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ソグド地方 ブハラ(都市国家)  発行者不明 7世紀  銅    
2.9g 22mm
表 : 開元通宝       
裏 : ブハラのタムガ
モデルとなったのは、もちろん左画像:「開元通宝」(唐) 

上の銅貨は、世界最西端の開元通宝であり、世界最西端の穴銭でもある。裏には90°ずれてブハラのタムガが入る。摩耗により、もはや読み取れない。
開元通宝の模倣貨は、ソグディアナ東部のサマルカンドでも作られた。

ソグド地方西部 ブハラ(都市国家)
ササン朝バハラ−ム5世の模倣貨  
8世紀中頃  銀
2.9g 23mm
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表 : 王の肖像  ササン朝ペルシャ・バハラ−ム5世(420−438年)銀貨の模倣
    頭の後ろには、パーラヴィ文字がデザイン化されて残っている。
    右の銘:ソグド文字「ブハラの王」     
 
裏 : 拝火壇 
 サマルカンドの西のブハラでは、中国穴銭タイプの発行は少なく、この銀貨の流通が最も多かったようである。

ソグド地方西部 ブハラ(都市国家)
アッバース朝「アル・マハディ」発行 ブハラ  770−785年  銀
2.9g 25mm
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表 : 王の肖像  ブハラ銀貨の模倣(ブハラ銀貨はササン朝銀貨を模倣)
    頭の後ろには、アラビア文字で銘:「アル・マハディ」
    右の銘:ソグド文字銘:「ブハラの王」     
 
裏 : 拝火壇 
イスラム支配となってから、この地の統治者が発行した。上の銀貨を模倣したものである。
ササン朝模倣貨のそのまた模倣というわけである。
イスラムにあるまじき図像である。表は肖像、つまり偶像。裏は異教の拝火壇。この時期には
まださほど教義も厳しくなかったのか? 

 上のブハラ銀貨2点については、別頁「ササン朝の模倣貨」にも収録

 参考文献
 :月刊「収集」2004年7月 平野伸二氏 掲載文 
 :世界史年表・地図  吉川弘文館
 :アジアの歴史と文化G中央アジア史 角川書店

 :MSN Encarta -Map of The World

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