タムガについて

 ソグド銭にはタムガが記されている。このタムガというのは何か。
タムガは、下図のように簡易なエンブレムである。ヨーロッパの紋章や日本の家紋のような複雑なものはない。ソグド周辺は、オアシス都市が点在し、その各都市が独立的な都市国家であった。その都市国家のシンボルマークである。また、部族としてのまとまりの象徴を表すタムガ、王族の家系を表すタムガもある。



 
ブハラ サマルカンド チャッチ地方の諸都市

ホラズム トルギス グラク王
(サマルカンド)
ヴァシュタヴァ王
(トルギス)
ウルクワラタムカ王
(サマルカンド)

 現代のモンゴルではタムガといえば、家畜(馬)に押す焼き印である。家畜の所有者を表すマークである。突厥やウィグルの歴史遺物(石板)にも、王族を表すタムガが刻まれているようである。タムガは、モンゴル系・テュルク系の遊牧民が起源なのか? 

 しかし、ソグド人は、遊牧民ではなく、モンゴルやテュルク系でもない。時代的には、ソグド貨幣に現れたタムガの方が、突厥(テュルク)やウィグルよりもずっと古い。ということは、タムガの起源はソグドで、突厥などに現れたタムガは、アジア中に広がったソグド人が持ち込んだものかもしれない。
 
 中央アジア貨幣に詳しい研究家に質問してみた。コインにタムガが見られる最も古い例は、BC1〜1世紀頃のホラズム銀貨であるそうだ。下の画像は、6世紀のホラズム銀貨であるが、これと同じタムガが、紀元前後のホラズム銀貨にある。
ホラズム銀貨・6世紀
このホラズムのタムガは、紀元0年頃から
変わっていない。

 →ホラズムの貨幣参照

 その最も古いタムガの入った銀貨は、ギリシャ風である。バクトリアや初期クシャンの影響が強い。このコインには、ヘレニズムコインのミントマーク(製造地マーク)をまねて、自分たちのタムガを入れたのかもしれない、ということである。同様のことが、初期クシャン貨幣でも見られるらしい。
 なるほど、コインにおいては、ミントマークをまねてタムガを入れたというのは説得力がある。

 タムガそのものは、コインに記す以前、紀元前からあったことになるが、その始まりがどこまで遡るのか、よく分からない。

 どなたか、ご教示をお願いします。


 参考文献
 :月刊「収集」2004年7月 平野伸二氏 掲載文 


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