古代ギリシャにはライオンがいた  

■トラキア ケロネソス 400−350BC ヘミドラクマ銀貨
2.32g 12.6
mm 
表:振り返ったライオン
裏:ドットとモノグラム 
■古代ギリシャにはライオンがいた?
 この小さなコインの故郷はケロネソス。それは後のカルディアであると言われている(上図参照。)このコインの後ろを振り返ったライオン図は、その躍動感がすばらしい。ライオンと言えば、ギリシャ神話にはヘラクレスのライオン退治の話がある。このコインのように、ギリシャコインのモチーフとしてもライオンはポピュラーである。

 実はライオンは実際に古代の南ヨーロッパに棲息していた。コインのライオンも、実物のモデルがいたのかもしれない。実物のいない中国〜日本では、ライオン=獅子であるが、その獅子の姿はライオンとはかけ離れた姿となっている。東アジアでは、獅子(ライオン)は想像上の動物だからである。

■たてがみが腹までつながるライオン
アフリカのライオン ギリシャコインのライオン
■左のアフリカのライオンには腹にはたてがみはない。右のギリシャ・ケロネソスコインのライオンには腹の下にヒレのようなものが見える。これは、たてがみが腹までつながって房になったものである。

■下の画像のライオンは、新バビロニア王国のネブカドネザル2世(605−562BC)の時代のレリーフである。 ※画像は「ベルリンの至宝展」より。 
 当時は北メソポタミアにライオンが棲息してい。このライオンのたてがみも腹まで覆っている。
■バーバリライオン
 かつて北アフリカに棲息していたバーバリライオンは、たてがみが豊かで、それは腹まで覆っていた。
※左画像はウィキペディア(Wikipedia)から拝借したバーバリライオンの絵である。

 バーバリライオンはローマ時代には、北アフリカからローマに送られ、剣闘士の相手やキリスト教徒の処刑用に使われた。絶滅したのはつい近年で、1922年のことである。

 ギリシャやメソポタミアのライオンは、たてがみの様子からみて、バーバリライオンの仲間なのだろうか?


■ベルクマンの法則
 「恒温動物(哺乳類・鳥類)では、同じ種では寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では、大型の種ほど寒冷な地域に生息する」というのがベルクマンの法則である。クマを例にすると、熱帯のマレーグマ・温帯のツキノワグマ・亜寒帯〜寒帯のヒグマやホッキョクグマと、寒冷地ほど大型になる。

 これと同じことがライオンでも言える。熱帯のサバンナに棲むマサイライオンより、より寒冷な南アフリカのケープライオン(絶滅)や北アフリカのバーバリライオン(絶滅)の方が、大型であったことが分かっている。北アフリカよりさらに寒冷なギリシャのライオンも大型であったと思われる。

 また、雄ライオンのたてがみは、寒冷であるほど豊か=毛深いことも立証されている。ギリシャにいたライオンもバーバリライオンのような豊かなたてがみの堂々たる姿であったのだろう。


■さらに巨大なドウクツライオン

 ベルクマンの法則では、寒冷なほど大型化する。その理論を証明する巨大ライオンがいたのである。マンモスと同じ氷河期に栄えた「ドウクツ(洞窟)ライオン」である。40万年ほど前からユーラシア大陸に広がっていた。ネコ科史上最大の動物で、現生のヒグマより大きい。化石が洞窟から発見されるのでこの名がついた。クロマニョン人が壁画に残している。

■なんと2000年前まで生きていた
 巨大なドウクツライオンは、2000年前まで南ヨーロッパに生き残っていたらしい。ケロネソスのコインのモデルは、まさかこのドウクツライオンではないだろうが・・・。


 ドウクツライオンについて 
  →「古世界の住人」(川崎 悟司氏)のイラストが素晴らしい!ここから画像へリンク

  
→「古世界の住人」・ドウクツライオンのページはこちら



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