残虐狂乱の軍神アレスが、正義の軍神マルスに


■戦争における残虐・狂乱の神アレス
 ギリシャ神話の軍神アレスはゼウスとヘラの子で、血統の良さは最高であるが、神話ではパッとしない。全く人気がない神である。軍神ならがもっと勇壮な神話があってしかるべきだが、逆に人間に負けた話まである。男を上げる話といえば、美の神「アプフロディーテ」との不倫騒動ぐらいである。なぜにこれほど人気がないのか? それは、アレスは戦争での破壊や狂乱・残酷といった負の側面を表す神だからである。アレス像を刻んだギリシャコインもあるようだが、数は少ないそうだ。


■戦争における栄誉・知略の神アテナ
 アレスとは対照的に人気のあるのがアテナである。アテナは戦争における都市国家の守り神である。戦争における栄誉や知略といった側面を表す。

 女神アテナは、軍装で表現される。アッティカ式の兜姿が左のコインで、コリント式の兜姿が右のコインである。

■ローマの軍神マルスに
■ローマの軍神マルス

ローマ帝国
トラヤスヌ帝(治世98−117年) 
デナリウス銀貨 113−117年発行 3.24g 19mm
左画像は、コインの裏面で、軍神マルスの肖像
銘:S P Q R OPTIMO PRINCIPI


リンク →本サイト内「ローマ帝国 トラヤヌス帝」

■ローマではマルスに
 ギリシャ神話の神々は、同じ多神教のローマの神々と対応する。ゼウス=ユピテル、アフロディーテ=ヴィーナス・・・というように。ギリシャ神話の軍神アレスは、ローマ神話の軍神マルスとなる。疫病神のようなアレスに対して、ローマのマルスはヒーローである。何といってもローマの建国の祖・ロムルスの父でもある。上のコインのように、若々しい理想の青年像として表される。
  ギリシャでは厄介者であったアレスが、ローマでは大出世したわけである。


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