海の民  フェニキア人  


 現在世界中で使用しているABC・・のラテン文字は、ギリシャ語から生まれた。さらにそのギリシャ語はフェニキア文字から生まれた。
 
 フェニキア文字を生み出したのは海の民フェニキア人。現在のレバノンの地中海岸から、地中海全域に船で乗り出した通商を生業とした人々である。
■フェニキア ビブロス 1/8シェケル銀貨
(10.5 mm 0.6g) BC333年

ビブロスは、フェニキア中部の中心都市。
表:ガレー船と下にはヒッポカンプ(海馬) 

裏:雄牛を襲うライオンとフェニキア文字
フェニキア文字銘は、「ゲバル(ビブロス)の王アドラメレク」
■フェニキア  アラドス 銅貨
16.2mm 3.5g
BC127−126年頃

アラドスはフィニキア北部の都市
表:ゼウスとヘラ
裏:ガレー船とフィニキア文字

フィニキア文字は、「133年」
これは、西暦BC127〜126年に当たる。


 フェニキアの位置は、現在のレバノンに相当する。フェニキア人の発祥の地とされているのは、その中部のビブロス(都市国家)である。海の民フェニキア人の船舶用材は、ビブロスの背後にあった。東のレバノン山脈からレバノン杉を伐採して船を仕立て、地中海貿易の主役へと躍り出たのである。レバノン杉は、現レバノンの国旗にも図案化されている(左画像。)

フェニキア人の植民都市の一つが北アフリカのカルタゴである。本家フェニキアの都市国家がアレクサンドロス大王に屈し、ギリシャ圏勢力に圧倒される中で、カルタゴは大繁栄を続けた。後には、ローマに対抗し、ハンニバルやスピキオで有名なポエニ戦争を起こすことになる。

■カルタゴ 銅貨

BC215205
22.3mm 6.5g

 表の神像は豊穣の女神「タニト」。聞いたことのない神名である。ギリシャ神話にはない。フェニキア神話にもないらしい。このカルタゴ独自の神であるようだ。
 BC219〜201年の第二次ポエニ戦争期の銅貨である。この戦争は、カルタゴ将軍ハンニバルのアルプス越えで始まり、ローマ将軍スピキオ勝利のザマの会戦で終わる。古代史のハイライト場面である。

 この後、第3次ポエニ戦争で、カルタゴはローマに徹底的に破壊される。フェニキア人の都市国家は消えていくが、文字の上で、フェニキア文字は、ギリシャ文字からラテン文字へと変化し、今や全世界のスタンダードとなっている。フェニキア人は文字の上で、世界制覇を成し遂げた。

参考文献:Greak coins and their values 2 : SEAR


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