サテュロス 半人半獣形の精霊 

トラキア タソス  411-350BC   銀貨トリヘミオボル 11.0mm   0.76g   
表:ワインカップを持ったサテュロス
裏:「TAS ION」のギリシャ文字銘とアンフォラ
小型のコインである。このコインには穴が開いている。古い時代に、同じ種類のコインを数多くひもに通して、首飾りに使われたと考えられる。

 下の画像は、490〜500BCのアッティカ赤絵陶器に描かれているサテュロスである。酔っぱらい、はしゃいでいる姿で、この絵と上のコインとの共通点は多い。ともにワインカップを持ち、サテュロスには顎髭があり頭は禿げている。禿げ頭は、ギリシャ世界では不格好の代名詞でもあった。



■サテュロスとは
 サテュロスは神ではない。精霊で、半獣の姿をとる。足は蹄のあるヤギの姿で表現されることも多い。上の絵では、陰茎を勃起させているように、サテュロスは、決して理性的な生き物ではない。動物的本能のままに行動する。しかも怠惰で、無用の種族とされている。
 半人半獣の姿から、牧神パーンと混同されることが多い。


■なぜ、こんなサテュロスがコイン像に?
 メジャーな神や英雄ならともかく、サテュロスは、ギリシャ神話においては端役で、どうでもいい存在である。なぜ、こんなサテュロスをコイン像にするのか? 理解に苦しむところである。

 このコインの制作地はギリシャの北、トラキアである。この地方では、ディオニュソス信仰が盛んであった。そのディオニュソスの従者がサテュロスである。とるにたらないサテュロスをコインに刻んだのは、そのディオニュソス信仰の流れであろうか?

     → リンク :タソス島のディオニュソス



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