ギリシャ神話の東進  ヒッポカンポスがガンダーラに  

■ヒッポカンポス
馬の下半身が魚になったものがヒッポカンポス。ギリシャ神話に登場する。海神ポセイドンの戦車を引く役目がある。英語ではシーホース。
フェニキア ビブロス 
1/16シェケル銀貨

(10.5 mm 0.6g) BC333年
シシリー(シチリア島) シラクサ  
ディオニュシオス1世発行 
405−367BC  銅貨 20mm 8.73g 

■はるか東方ガンダーラにて
 ギリシャからははるかに東方、インド北西部のガンダーラの出土品に、このヒッポカンポスの変形したものが見られる。ここでは、馬がライオン(獅子)に変わっている。騎乗しているのは何者だろう。トリトンだろうか?
これは、化粧皿と呼ばれているが、実際の用途は化粧には関係ない。宗教的な祭具である。
緑泥片岩製

インド北西部 ガンダーラ地方 
紀元0年前後

クシャン朝以前、仏像出現以前の宗教観を表している。ピッポカンポスが海を渡っている。「海を渡る」とは「三途の川渡し」と同様で、来世への希求、仏教でいう極楽往生の願いが込められている。この石皿はガンダーラのギリシャ系遺跡から出土する。

■仏教的な極楽往生を願う気持ちを、ギリシャ神話のモチーフに託しているのである。この石皿の所有者がギリシャ人仏教徒である可能性も高い。
この後、ギリシャ神話モチーフに代わり、霊魂の護送役・救済者として、いよいよ「仏像」が出現するのである。

■ギリシャ神話のヒッポカンポスが、仏教的極楽往生の象徴になるとは、古代ギリシャ人は思ってもみなかったことだろう。



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