インド・グリーク朝コインのインド的な意匠

■アレクサンドロスから仏像誕生までシリーズ
@バクトリア王国 インドグリーク朝
Aインドグリーク朝コインのアジア的意匠
Bギリシャ哲学とインド仏教の出会い
Cプレ・ガンダーラ美術期(インドスキタイ インドパルティア)
Dクシャン朝と仏像誕生


ここでは、インド・グリーク朝コインについて、そのギリシャ的な作りの内に見えるアジア・インド的な意匠を抽出してみた。

■コインにおけるアジア的な要素@  なつめ椰子
ディオスクーロイ(ゼウスの双子)
肩にかけるナツメヤシ枝葉
トライデント(三又矛)を持つポセイドン
左手にナツメヤシ枝葉

有翼の勝利の神ニケ
ナツメヤシ枝葉を左手で持ち肩にかける
ナツメヤシ
上図は、インド・グリーク朝のコインである。ギリシャ神話の神々が描かれているが、なつめ椰子の枝葉を手に持つ点にオリエントとしての特徴がある。
なつめ椰子は、アフリカ〜中東のオアシスに一般的に見られる椰子で、西アジアでは古くから「栄光」「勝利」「富」の象徴とされていた。このようななつめ椰子を伴った意匠は、ヘレニズム諸国独特のもので、本家ギリシャコインには見られない。


■コインにおけるアジア的な要素A  方形コインとインド的な意匠
パンタレオン 171−160BC
アポロドトス 160−150BC

方形コインは、バクトリア〜インド・グリークにだけ見られる。他のヘレニズム諸国のセレウコス朝シリア、アルサケス朝パルティア、プトレマイオス朝エジプト等には見られない。

その訳は、ヘレニズム以前のインドの貨幣にあると思われる。


 → インド古来の方形貨幣の伝統
BC5−4世紀頃(仏陀の時代)
ガンジス川中流域のマガダ国の貨幣

BC3−2世紀頃 
マウリア朝貨幣(タキシラミント:ガンダーラ地方)


このような方形コインの伝統を取り入れたものと思われる。
アポロドトスの方形銀貨は、図案も「象・こぶ牛」とインドならではのものである。




■コインにおけるアジア的な要素B  後光・・・ゾロアスター教の影響か?
インド・グリーク朝コイン  ゼウス神 クシャン朝コイン ミトラ神
 椅子の右には象、右手には女神ニケを乗せる。このゼウスの頭部には、かすかではあるが、放射状の点が見える。ゼウスには本来このような装飾はつかない。
右手をかざす太陽神ミトラ。西から中央アジアで信仰された太陽神ミトラには後光をつけて表す。ミトラ神はゾロアスター教にも取り入れられている。
 ギリシャの神々は、この地で信仰されていた神々と混交したものがある。最高神ゼウスは、太陽神ミトラと同一視されていた。そこでバクトリア〜インド・グリーク朝では、ゼウス像にミトラと同様、後光をつけることもあった。

参考文献

Greek coins and their values 2 Asia and Africa :Sear :Seaby
平山郁夫コレクション「ガンダーラとシルクロードの美術」 : 朝日新聞社
世界史年表・地図  :吉川光文社
古代バクトリア遺宝 :MIHO Museum
文明の道A ヘレニズムと仏教 :NHK出版 


■アレクサンドロスから仏像誕生までシリーズ
@バクトリア王国 インドグリーク朝
Aインドグリーク朝コインのアジア的意匠
Bギリシャ哲学とインド仏教の出会い
Cプレ・ガンダーラ美術期(インドスキタイ インドパルティア)
Dクシャン朝と仏像誕生

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