十字軍の時代

■ルーム・セルジューク朝
 セルジューク朝はイランを基盤とし、各地に地方政権がある。ルーム・セルジュークもその一つで、小アジア、現在のトルコを支配する。ルームとはローマのことである。そもそもこの地は、はるか昔のカエサルの時代からローマ領であった。ローマ帝国の分裂後はビザンツ帝国(東ローマ帝国)の領地で、住人はギリシャ人が多く宗教もキリスト教(東方教会)であった。
 11世紀後半、そこがトルコ系イスラムのセルジューク朝の支配下になった。

■小アジアのイスラムコインには・・・偶像もある

   
ルーム・セルジューク朝  銀 2.9g 23mm
カイホスロー2世(1236〜1245年)
アルトゥク朝 小アジア東部地方政権
1167〜1233年
 銅 11.4g 25mm
 イスラムは偶像崇拝を固く禁じている。偶像を忌み嫌い、最近ではタリバーンによるバーミアン大仏の破壊もあった。イスラムコインには、ごく初期のものは除いて、偶像はない。
 ところが、小アジアに限って偶像が見られる。上左のルーム・セルジュークはライオンの上に人顔の太陽、右のアルトゥク朝はライオンに人が乗っている。イスラムらしからぬ偶像コインである。
これは、イスラム以前ビザンツ領であったことが関係するのだろう。

■11世紀末頃
■十字軍のきっかけ
 ビザンツ帝国は、セルジューク朝に小アジアを奪われ、さらに首都のコンスタンティノープルの危機。ビザンツ皇帝はローマ法王を通じて、西欧諸国に救助を呼びかけた。こうして十字軍(クルセイド)が結成された。

■第1回十字軍(1096年〜) 
 イスラム諸国にとってはいきなりの十字軍到来。ルーム・セルジュークも本家セルジュークもろくな抵抗もできずに、十字軍は圧勝し、エルサレムを中心に十字軍国家を建設した。

■サラディン登場(1169年)

 ファーティマ朝を倒し、アイユーブ朝を興したのがサラディン。シリアを獲得し、十字軍国家を攻撃、エルサレムを奪回する。 
アイユーブ朝 
アル・ザーヒル発行(1186〜1216年)
銅 3.2g 22mm 
このコインはサラディンの三男でシリアのアレッポ領主のアル・ザーヒルが発行した。

■第3回十字軍(1189年〜)
 ハイライトは、サラディン 対 リチャード1世。イングランド王リチャードは獅子心王とも呼ばれる猛者で、エルサレムをめぐってサラディンと激闘を繰り返した。
 ヨーロッパからは、サラディンは敵ながら真の騎士であると絶賛された。

■第7回十字軍(1248年)とマムルーク朝
 フランス国王ルイ9世が十時軍を率いてやってくる。迎えるアイユーブ朝ではスルタンが急死した。戦闘にはマムルーク軍人のバイバルスが指揮して勝利した。アイユーブ朝は滅びマムルーク朝となる。
十字軍は第1回に成果があったのみだった。この後、1291年 十字軍の拠点はマムルーク朝によって陥落し、十字軍も打ちきりになる。
このコインはマムルーク朝・Sha’ban2世(1362〜1376年)発行 銅 2.0g 20mm
シリアのアレッポ製


謎のキリスト教国 プレスター・ジョン その正体は?

 十字軍遠征のさなか、ヨーロッパではうわさが確信に変わりつつあった。そのうわさとは・・・。
「はるか東方にはキリスト教国プレスター・ジョンが存在する。そして、その大群が十字軍を救いにやってきている」
ヨーロッパが待ち望んだその謎のプレスター・ジョンの正体は?

 その正体は、東方からの遊牧民「モンゴル」であった。

ユーラシアを覆うばかりの大国を建国する、キリスト教国でもイスラムでもない大モンゴル。ユーラシア大陸全土を恐怖に陥れることになる。


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