イエス・キリストの処刑  総督ピラト

 ヘロデ王の死後は、ユダヤはアグリッパ1世以外は全てローマの総督が治めた。
中でも、イエス処刑で有名なのがピラトゥス(ピラト)である。

ポンティウス・ピラトゥス(ポンテオ・ピラト)
ティントレット作:「ピラトの前のキリスト」
■ピラト発行の貨幣

表(上)銘:ギリシャ文字で「TIBEPIOY(ティベリウス)」=ローマ皇帝ティリウス 

裏(下):月桂樹の輪の中の文字は、「LIZ」。ギリシャの数字の表し方で、「17年」の意味。17とは、ティベリウス治世17年で、AD30年に発行した貨幣である。30年、まさにイエスが処刑された年かもしれない。 ピラトの総督就任は、26〜36年。

表(上)のワラビのような形のものは、リトゥウスという。ローマの宗教用具で、神託を聞く際に手に持つもの


 イエス・キリストの
処刑を決定したのがピラト。そもそも、イエスの罪状は何か?

■ユダヤ人はメシアの到来を待っていた
 ユダヤ教というのは、選民思想である。「神はユダヤ民族だけを選んだ。神との契約である戒律を守ることが、何より大事」という考えである。人々がメシア(救世主)を待つというのも、全人類の救世主ではなく、あくまでユダヤ民族だけを救世する者を指す。

■イエスはユダヤ戒律を否定
 戒律では、安息日には何もしてはいけない。しかし、イエスは言う。「安息日は人のために定められた。人が安息日のためにあるのではない。」 戒律に精通した者ほど神に評価されるというのが当時の常識。しかしイエスは言う。罪人や娼婦に、「弱き者は幸いなり。天国は彼らのためにある。」  これではユダヤの神官からすれば、神への冒涜である。

■一般民衆は民族解放が願い
 ローマに支配される現状を、メシアが救ってくれる。イエスこそがメシア。我らがユダヤ民族を解放するため、独立運動を起こしてくれるのでは、と期待する。

■イエスはユダヤだけの神を全世界に広げた
 イエスの教えは、ユダヤだけが救われることではない。イエスのキリスト教が後にローマ帝国を、ヨーロッパをに広がったのは、全人類的な普遍性を持っていたためである。しかし、当時のユダヤ人にすれば、神への冒涜であり、ユダヤを救わないことへの激しい失望であった。

■罪状はローマ帝国への反逆罪
 イエスのユダヤ教への挑戦に対し、ユダヤ神官は「死刑にすべし」と一致する。しかし、ローマ統治下であるので、裁判と死刑の執行権は総督にある。総督には、イエスの罪状は、「帝国への反逆罪」とした。
ユダヤの王になろうとしたという罪で、総督ピラトの判断待ちとなる。
 ピラトはイエスの無実は確信していたものの、死刑要求をはねのけた場合の反乱が怖かった。そうして、死刑が確定した。

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