カエサルのものはカエサルへ


ローマ皇帝 ティベリウス(治世14−37年)
デナリウス銀貨 18−35年発行 3.71g 19mm  リヨンミント
聖書の「Tribute Penny」(貢納の貨幣)タイプ

■マタイによる福音書 第22章

 ファリサイ人たちがやって来て、どのようにしてイエスの言葉じりを捕らえてわなにかけようかと相談した。 彼らは自分たちの弟子たちをヘロデ党の者たちと一緒にイエスのもとに遣わしてこう言わせた。

「先生、わたしたちはあなたが正直な方で、だれに対しても真実をもって神の道を教えられることを知っています。あなたはだれをもえこひいきすることがないからです。 それで、わたしたちに教えてください。カエサルに税金を払うことは許されているでしょうか、許されていないでしょうか。


しかしイエスは、彼らの邪悪さに気づいて、こう言った。

「偽善者たち、なぜあなた方はわたしを試すのか。 税の貨幣をわたしに見せなさい。」

彼らはイエスのもとに1デナリオスを持って来た。イエスは彼らに言った。

「これはだれの像と銘なのか。」

「カエサルのです。」

「それなら、カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」

これを聞いて彼らは驚嘆し、去って行った。


■ファリサイ人の企み
 「カエサルに税金を払うことは許されているでしょうか、許されていないでしょうか?」
この問いの中の「カエサル」とは、「ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)」ではない。称号としての「カエサル」である。つまり、「ローマ皇帝」のことである。
 ファリサイ人は、神の国を語るイエスなら「我々がかしずくべきは神のみであり、皇帝や総督ではない。納税の義務はない」と答えるものと予想していた。そして、反逆罪として捕らえることができると・・・・。

■「Tribute Penny」(貢納の貨幣)
 この時にイエスが
「これはだれの像と銘なのか。」と問い返した貨幣が、ローマのデナリウス銀貨である。時の皇帝はティベリウス。ティベリウスのこのタイプのデナリウス銀貨が、この聖書に登場する銀貨である。特別に「Tribute Penny」(貢納の貨幣)と呼ばれている。
■カエサルのものはカエサルに、神のものは神に
 イエスの答えは明快であった。皇帝に納めるべきものは皇帝に納める。神に捧げるべきものは神へ。宗教と国家に対する義務は別のものであるという政教分離の答えであった。これでは、ファリサイ人もすごすご帰るしかない。
 聖書で、イエス・キリストがこのように言っているのに、その後の歴史では、いかに聖教分離ができないでいることか。


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