現在モンゴル紙幣に見える文字の旅


 モンゴルの紙幣には2種類の文字がある。ロシアで使われているキリル文字と昔ながらのモンゴル文字である。このモンゴルの小さな紙幣から壮大なる文字の歴史が見えてくるのである。
モンゴル紙幣 キリル文字
伝統的な縦書きのモンゴル文字
モンゴル文字
 モンゴルはもともと、モンゴル文字を使用してきた。このモンゴル文字は13世紀のチンギス・ハーン以来の文字である。これは、ウィグル文字が変化したものである。ウィグル文字の前身はソグド文字。そのまた前身はアラム文字である。モンゴルへは、はるか彼方の西アジアからシルクロードを通ってやってきた。

キリル文字
 キリル文字は近年にモンゴルに入った。1924年、ソ連の全面援助で中国から独立した。その後、モンゴルはソ連べったりの政策をとり、1941年モスクワの指示で、モンゴル文字を廃止しキリル文字を使用することになった。しかし時代は変わり、ソ連は崩壊した。1992年、モンゴル人民共和国からモンゴル国へと改称し、社会主義を放棄した。民族の誇りを取り戻そうと、政府はキリル文字を廃止しモンゴル文字を復興させようとした。しかし、すでにモンゴル文字は忘れ去られ、モンゴル文字を公用文字にすることは挫折している。


 ソ連のキリル文字の故郷は、中世のビザンツ帝国である。2人のビザンツの宣教師が、文字を持たなかった東欧のスラヴ人のためにグラゴール文字を考案し、これが変化してキリル文字となっている。もとになった言語はビザンツの公用語ギリシャ語。そのギリシャ語は、紀元前10世紀ほど前までさかのぼり、フェニキア文字にたどりつく。


 紙幣の2つ文字の伝播は、ルートも時代も違うが、もとは双方とも西アジアに起源がある。ルーツはアラム文字とフェニキア文字であるが、この2つの文字もまた、互いに近縁である。3000年ほど前、別方向に伝播していった文字が、形を変えて再びモンゴルで出会ったことになる。



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