ウェスパシアヌス  


ウェスパシアヌス(治世69−79年) 
デナリウス銀貨  70年発行 3.16g 17mm
表銘:IMP CAES VESPASIANVS AVG
裏銘:COS ITER TR POT


■現場経験豊富な皇帝
 ウェスパシアヌスはAD9年、中産階級に生まれた。都会育ちの坊ちゃんではなく、属州や軍隊での豊富な現地体験がある。
 ネロ帝の信任が厚かったが、ある時失敗をやらかした。ネロはギリシャかぶれで、自分がギリシャ歌劇を演ずることに酔いしれていた。そのナルシストのネロが激怒した。ネロの演奏中、ウェスパシアヌスは居眠りをしてしまったのだった。
 
 もうこれで出世の道は絶たれたかと思いきや、ユダヤ人が反乱を起こした。有能な軍人を必要としたため、ウェスパシアヌスがユダヤ総督となり戦争の指揮権を持った。
 ユダヤでの戦争を着実に優位に進める中、68年皇帝ネロが死亡。時期皇帝の座をめぐってガルバ→オト→ウィテリウスと数ヶ月で皇帝が入れ替わるという内乱状態になった。最終的には、軍に人望のあるウェスパシアヌスがAD69年、皇帝となる。

   →サイト内 ユダヤ戦争のページを参照


■コロセウム(コロッセオ)の建設 
5万人を収容の大スタジアムの建設は、75年からウェスパシアヌスが手がけた。完成はドミティアヌス帝の治世である。コロッセオでは、剣闘士の格闘がおこなわれた。地下6メートルの迷路のような空間には、ライオンやヒョウなどの猛獣を舞台にせり出す昇降機が備えられていた。ショーを主催者はローマ皇帝。「パンとサーカス」の提供が皇帝の義務だった。

■臭うかね?
 ウェスパシアヌスが即位したとき、ネロの浪費と内乱から国庫は尽きようとしていた。財政立て直しのための一つが、公衆便所の尿に税金をかけたことだった。小便に税金とは・・・・という市民の声があがった。息子のティトゥスが「そのような汚い金は、如何なものか」と問いただすと、「息子よ、この金が臭うかね?」と徴税コインをすくい上げたという。

 ウェスパシアヌスは、強欲というイメージを植え付けられているが、優秀な運営者であった。治世の10年間は平和で健全な財政と安定した政府を次代に残した。

■最期
 69才にて病死。高齢であったところに、鉱泉を飲み下痢になる。病状は悪化しほとんど意識も失ったが、「皇帝は立って死ぬべきだ」と言い、自分の足で立ち上がろうとして崩れ落ちた。そのまま従者に抱かれて息を引き取る。ウェスパシアヌスらしい意志の強さを見せての、安らかな最期である。

 



コインINDEXへ

inserted by FC2 system