温酒器 中国 前漢時代

 ふたの文様は「蟠螭文(ばんちもん)」である。複雑な幾何学紋様であるが、これは龍が絡み合った様を表す。戦国期の青銅器(礼器)に用いられた龍文の一種である。

 これは、前漢時代の生活用品であるが、まだそこかしこに戦国期の青銅器文化の余光が見られる。これがやがて後漢となると、芸術性は衰退していく。これ以降、青銅器がその芸術性を高めていくのは、銅鏡の分野である。器の類は、陶磁器や漆器にとって代わられるようになる。


温酒器 「けい(金へんに坙)」
前漢後期 BC1世紀頃



 商・周はもちろん、春秋~戦国時代と、青銅器といえば、それは礼器であった。青銅器は、祖神を祀るための特別な器物であった。それが、漢代では生活用品として大量生産されるようになった。

 むろん大量生産とはいえ、極めて高価な奢侈品である。使用したのは一部の貴族や大商人に限られる。一般民衆には手の届かない器物であった。


 これは「けい(金へんに坙)」と呼ばれる、酒を温める容器である。

 酒器らしく粋なデザインである。提梁(つり下げるための取っ手)のデザインは龍をモチーフとする。

 底には、小さな獣面のついた足が3本ある。これは熊の姿で表現されている。

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