ルリスタン 青銅器

 ルリスタンは、現在のイラン南西部の山岳地帯である。ここに、BC1000年前後に青銅器文化が栄えた。剣・馬具・装身具などの発掘品が見られる。20世紀に入ってから、膨大な量の盗掘青銅器がヨーロッパに流れ込んだらしい。

 辺鄙な山岳地帯に豊かな青銅器文化が栄えたことが、謎である。ルリスタンでの学術調査はほとんどされておらず、遺物のほぼ全てが盗掘によるものなので、文化の実態には不明な点が多い。近年の研究では、この青銅器文化の担い手は、移牧交易民ではないか、と言われているようだ。平地と高地を季節によって移り住むと同時に、交易を行っていたと考えられている。季節に応じての半定住的な生活者である。その夏の居住地がルリスタンではないかというものだ。青銅器の工房はメソポタミアにあったのかもしれない。

 また、この民族は、騎馬に堪能であったようで、多数の馬具が見られる。騎馬民族らしく、青銅器のモチーフには動物意匠のものが多い。

ルリスタン 青銅器
BC1000年頃


 本品は、ヤギの形である。角が大きいので、野生のアイベックスのようなヤギ類をかたどったかもしれない。
 
 胴体部分は空洞で釘を通す小穴がある。この胴部に棒状の木を差し込み、釘で固定したのであろう。儀式用の杖の先に取り付けた装飾かと類推するが、これを縦向きにしたのでは、ヤギの姿が不自然に見える。やはり、この画像のように、横向きに据えたのではないかと思えるが、用途は不明。

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