後漢鏡 方格規矩鏡

 いわゆるTLV鏡である。アルファベットの「T」・「L」・「V」のような模様が各4つずつあり、合計12個が規則的に配置されている。それにより、鏡の内部は8つの区画に区切られる。その各区画に乳(にゅう)と呼ばれる小突起がある(8個)。その突起に合わせて神獣が描かれている。

 8つの神獣は、普通は「青龍・朱雀・白虎・玄武」の四神が四方に配置され、残る4つには他の動物が配される。そのような鏡を、「四神規矩鏡」という。

 本品の場合はどうか? 上図を見ての通り、内部には四神のうちの青龍がない。また、朱雀と白虎は90°ずれて配されるべきだが、ここでは隣り合わせになっている。四神配置から外れたこのような鏡は、「鳥獣文規矩鏡」という。四神鏡と同じ時期に流行した。

 外回りには、デザイン化された「青龍・朱雀・白虎・玄武」の四神が平彫りで描かれている。これは正しく配置されているが、内部の文様とは対応しない。外部の装飾帯として用いられていて、連続文様となっている。

 文様jからは、漢代の神仙思想がうかがわれる。煩雑にはなるが、興味深いので以下に各画像を掲載する。上図と比較しながら参照されたい。
1 朱雀(鳳凰・フェニックス)     2  白虎と思われる
  
3 辟邪か天禄?        4 鹿? 
辟邪と天禄は同種のもので、狛犬の元になったとも言われている。
4は枝状の角。鹿の姿をデフォルメしたものか?

5 玄武     6 辟邪か天禄?
5は亀と蛇が合体したもので、明らかに玄武。
辟邪も天禄も、ともに角のある肉食獣型で表現される。 

7 羽人     8  麒麟と思われる
羽人は、人とも鳥ともつかないものとされている。
8は龍のような顔・細長い身体で、麒麟とした。

縁の部分には、青龍・朱雀・白虎・玄武の四神が連続的に描かれている。四神については以下のような規定になっている。
          守護する方位   司る季節   象徴色   その姿
青 龍 西 青・緑
朱 雀 赤・朱 鳳凰・フェニックス
白 虎
玄 武 亀と蛇

 現在の日本の国技「相撲」では、土俵の上に青房・赤房・白房・黒房があり、その下には
審判員が座る。この房の色は四神に相当する。古代の神仙思想が現在日本にも生きている。



■青龍



■朱雀


■白虎


■玄武

方格鳥獣文規矩鏡(TLV鏡)
新(王莽)~後漢前期 
1世紀    
D:18.5cm

inserted by FC2 system