唐鏡 盤龍鏡

 飛翔する龍と雲文を描いたのが盤龍鏡で、唐代・特に8世紀前半頃の盛唐期に流行した。中央にある紐を通すためのふくらみを鈕という。これを玉に見立てて、龍がくわえている図案である。龍の4本の足の前には雲文がある。宙をかいた足によって気流が発生したかのように見える。龍の姿とともに、躍動感にあふれている。

 このような龍文鏡を玄宗皇帝が好み、群臣にも下賜したことから、一般にも盛行したようである。
当時の詩句にも盤龍鏡の文字が見える。
  李白 「代美人愁鏡二首」
    美人贈此盤龍之宝鏡
    燭我金繍之羅衣 

  孟浩然「同張明府清鏡嘆」
    妾有盤龍鏡
    淸光常昼発

 これらの詩に出る盤龍鏡は、皇室や貴族の所有物ではなく、富裕な一般人のもので、二つの詩ではともに女性の所有物とされている。本品も、富裕な一般人の所有物であったのだろう。

 後漢~三国・南北朝と、時代は移ったが、銅鏡は漢代の形式から大きな変化はなかった。規格化・定形化したもので、デザインは地味で重苦しさがあった。それが、隋・唐代になると大きく変化する。優美さや華麗さを求めるようになる。特に盛唐期には多様な図案で写実性の高い鏡が生まれた。その大産地は、揚州(現在の江蘇省揚州)である。

盤龍鏡
盛唐 玄宗皇帝治世時  
8世紀前半頃

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